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help リーダーに追加 RSS 映画「クローズド・ノート」感想

<<   作成日時 : 2007/10/02 20:54   >>

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 雫井脩介の恋愛小説を映画化した「クローズド・ノート」(行定勲監督)を観て来ました。なお、私は原作既読で両方のネタバレ入っています。ご注意ください。



 まず最初に、原作小説の話をします。これは主人公・香恵の心の成長を綴る物語。平凡な女子大生だった彼女が、伊吹先生のノートとイラストレーターの石飛さんに出会ったことによって変わって行く、その過程がストーリーの要です。
 石飛さんが伊吹先生の恋人で、その伊吹先生はもうこの世にはいないというのが、オチじゃなくて前提になっているのがこのお話の巧みなところ。それを読者は最初に気づいてしまうので、主人公香恵の言動をハラハラしながら見守ることになります。

 日記の真実というのはあくまでも物語の過程の一つで、それを受けて香恵がどう行動するかが、この物語の重要なところ。伊吹先生の死を聞かされた香恵は、花菜ちゃんの元カレ・鹿島を引っ叩き、石飛さんの個展で恋敵の山崎女史を出し抜いて、日記の最後のページを朗読し、伊吹先生の思いと同時に香恵自身の思いも伝えます。
 そしてラスト、香恵と石飛さんは和解し、これからの関係を暗示させつつ終ります。
 (原作の感想はこちら。)


 さて、映画の方はどうでしょうか。序盤はほぼ原作どおりに進みます。ところが、中盤、マンドリンの演奏会以降は原作とはほぼ別物。オリジナルの展開といえば、聞こえがいいのですが、実際はとても誉められたものではありません。

 まず、香恵が石飛さんに魅かれて仲良くなっていく過程が描かれていない。当然ハナちゃんの彼氏である鹿島との間で揺れる心も描かれません。鹿島は途中でどこかへ消えてしまい、香恵はいつの間にか石飛さんの携帯番号や住所まで知っている。そんな描写はまったくなかったのに。(おかしなことに鹿島とは携帯教えたってやりとりがあった)

 一番驚いたのが、香恵が石飛さんの家をいきなり訪ねて、「あなたのこと好きです」っていうシーン。いや、それはちょっと唐突だろう。だいたい携帯持っているんだから、事前に彼が家にいるかどうか確認ぐらいしなさいよ。
 で、そこにいた山崎女史が「彼の心の中には別の人がいるんだよねー。残念ながらそれはあたしじゃないんだけど」ってミもフタもないことを言う。そして、更にとんでもないことに、後で石飛さんが香恵の家を訪ねて、「さっきはゴメン。でもそういうことなんだ」って追い討ちをかけに来る。それだけでは留まらず「でも個展には来てほしい」って、いったいどういうわけ?鬼かこいつは!?(笑)
 こんなやり取りのあとでは、個展での朗読シーンも茶番にしか見えない。どうせやるのだったら、原作どおり、香恵が伊吹先生の学校を訪ねた後にすれば良かったのに。

 伊吹先生のエピソードもなんだか美化されているっていうか、映像にするとありえないっていうか。登校拒否児童の家を2回訪ねただけでその子が学校にやって来るなんて、ちょっと都合よすぎでしょう。しかもやっていることは合唱のテープ届けただけだし。この辺にも丁寧さが感じられないんですよね。
 最後の日記を破り捨てて紙飛行機にして飛ばすという行為も意味不明。だいたい私的な恋愛感情まで書いてある日記を学校に持って来て、それを教室の窓から投げ捨てるっていうメンタリティがよくわからない。他にも、生徒のテストを自宅に持って帰って恋人のいるところで採点し、しかも紛失するなんて教師としては大問題でしょう。こういう原作にないエピソードをどうしてわざわざ入れるんでしょうか。

 ラストシーン。ファンタジックにしたいのはわかります。でも、ちょっと無理矢理過ぎないか。児童が一斉に紙飛行機を飛ばし、それには「伊吹先生、心の力をありがとう」って書いてあるなんて、そこまで彼女を美化する必要はなかったでしょうに。

 いろいろダメ出ししましたが、それも期待感の裏返しってことで。特に自分がロケに参加した作品だけあって、思い入れも大きかったのです。更に原作が良かったことも期待した要因のひとつでした。
 (ロケに参加したレポートはこちら→(その1)(その2)


 原作を一度解体して再構成するという監督の心意気や良し、ですが、それで原作より劣ってしまってはダメだと思います。映像的には綺麗で観るべきところが多々あったし、沢尻エリカを始めとするキャストは皆好演していたので、あとは構成さえ間違っていなかったらもっと良くなったのに、残念なことです。


※総合評価。5段階で星三つ。「遠くの空に消えた」みたいに、途中で眠たくなってしまうことはなかったです。キャストの演技と映像美だけでも、元は取れると思います。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
クローズド・ノート(映画評・感想)
クローズド・ノート鑑賞。 ささくれだった心が柔らかくなる感じ。 ホントに泣けた。 ...続きを見る
blog50-1
2008/02/26 14:31

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは〜。

この感想を読んで、『私の言いたいこと全部書いてある!』って思いました。

原作は読んでないけど(購入したので、近いうち読んでみようと思います)
映画を観た感想としては…大事な部分が欠けてて、それで私は泣けなかったんだと思います。

確かに、伊吹先生が家を2回訪ねただけで、君代ちゃんは突然学校に姿を現すし、それで『心の力』って言われても、あんまりピンと来ませんでした。
雨の日もわざわざ行ったんだよ!みたいなアピール(?)だったんでしょうか?(笑)

それでも、どれもこれも唐突すぎるし、曖昧な部分はあるし…
ちょっとストーリーに入り込めなかったというのが正直な感想です。

2007/10/03 21:48
 綾さん、いらっしゃいませ。

 なんというか、いろいろ足らないところが多い映画でしたね。駅のシーンの全カットも含めて、きっと、もっと色々撮っていたのにやむなく編集でカットしちゃったってところでしょうか。
 でも、それで本編が説明不足でわけわからなくなっちゃっては、ダメなんですけどね。(^^;

 特に君代ちゃんのエピソードは伊吹先生の「心の力」の核となるエピソードだけに、もっときちんとやって欲しかったです。MD届けて、「これが君代ちゃんのパートだよ」って言って、次のカットではもう学校に出てくるって、どんだけ歌いたがりな子なんだよ!って感じですよね。(笑)

 原作は香恵の心の動きがわかりやすく丁寧に書かれているので、感心しました。何よりも「伏線を張ってそれをすべて回収する」「登場人物が何か行動するときは、ちゃんとその理由も示す」という当たり前のことがきちんとできています。

 また原作読まれた感想もお聞かせください。
 ではでは。
管理人
2007/10/04 18:44
しばらく不登校だった子が、ひさしぶりの登校時に
いきなり廊下から合唱に参加して、登校してきたことをアピールするか?

あの場面ではスクリーンに「おいっ!」ってつっこんでしまいました(笑)
yutaka
URL
2007/10/05 23:57
 もう君代ちゃんのエピソードはツッコミどころ満載ですよね。
 合唱コンクールでいきなり独唱しているのも、おいおいって感じでしたし。練習風景なんて全くなかったですもんね。

 結局伊吹先生のいう「心の力」を示す具体的なエピソードはなかったわけで、このあたりも構成の失敗と言えるでしょうね。

 ちなみにあの胸を叩く動作、最初に見たときは肩かなんか凝っているのか?って思ってました。(笑)
管理人
2007/10/06 00:37

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