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zoom RSS 映画「パンドラの匣」感想

<<   作成日時 : 2009/10/29 21:55   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 6 / コメント 12

 太宰治の同名の小説を映画化した「パンドラの匣」(富永昌敬監督)を観ました。その感想です。ラストまでネタバレしているので注意。



 原作小説は太宰の中でも明るく前向きな作品で、終戦直後の結核療養所を舞台に、虚無的な明るさの支配する中、主人公の青年がいろいろな人と出会い成長していく様が描かれています。

 ところが、この映画版はその単純明快な原作をなぜか複雑にわかりにくくしている。しかも原作の持つ明るい雰囲気は微塵も感じさせず、終始暗いトーンのまま。そして余計なオリキャラを入れて、原作では生きている主要登場人物を無理矢理亡くならせて、ラストもわけのわからないものに改変。これはもう原作に対する冒涜と言っていいでしょう。
 最後まで観て、何がテーマなのかまるっきりわかりませんでした。それどころか、主人公ひばりがどんなキャラだったのかもよくわからない。結局伝えたいことを全然伝えられていないんですね。

 原作ではひばりが「背が高くて色黒」と称していた竹さんが、終盤で実は凄い美人だったとわかる。同時に竹さんに対する恋心も顕わになるのですが、映像でこれを表現するのは無理でしたね。大体竹さんが川上未映子というキャスティング自体が疑問ですが。

 物語は序盤〜中盤はまだいいのですが、終盤に大暴走。かっぽれが無意味に死んじゃうシーンでは椅子からずり落ちそうになりました。あれはまさに犬死と言っていいでしょうね。
 そして、竹さんの結婚を決めた相手が実はつくしだったというこれまた意味のないオチ。どうしてこんな改変したのか、監督に激しく問い詰めたい気分です。

 この映画、わざわざオールアフレコにしたそうですが、それで不自然になってしまっては意味ないでしょう。特に固パンとかっぽれがやりあうシーンなんてひどかった。あそこはかっぽれの見せ場のひとつなのに台無しでした。

 主役の染谷将太、演技はやはり上手い。特に健康道場へ入るまでが良かった。ただ、ひばりの役自体が固まってないから、どんなにいい演技をしても伝わって来ないのが惜しい。彼の演技力を生かすことができなかったと言っていいでしょう。

 良かったのは、マア坊役の仲里依紗。キャラと役がぴったり合っていたんでしょうね。まさに小説の中から抜け出てきたようなキャラでした。そして、つまらない物語の中で彼女の存在だけが癒しになっていたと思います。

 川上未映子は全然演技してなかったような。ある意味物語の鍵となるキャラなんですけど、なんで全然演技経験ない人をキャスティングしたのでしょうか。この点でも監督に激しく問い詰めたい気(以下略)。

 あと、越後獅子の娘役のKIKIが意外に良かったです。この人はモデルさんだけあってポーズは完璧ですね。非常に美しい立ち姿を堪能させていただきました。

 好きな原作の映画化だっただけに、映画の不出来さに対する落胆も大きいです。実はこの作品、太宰の生前にも映画化されていて、それを観に行った太宰はつまらなくて途中で出てきてしまったそうですが、もし彼が生きていたとしたら、この映画も最後まで観てもらうことができたかどうか、甚だ疑問です。


※総合評価。五段階で星一つ。文句無しの駄作。特に原作が好きな人は観に行っちゃダメ。ただ、仲里依紗のファンだけは観に行く価値があるかも。

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「パンドラの匣」
                             「パンドラの匣」 ...続きを見る
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「パンドラの匣」気がつけば、新しい男に生まれ変わったのだ
「パンドラの匣 」★★★ 染谷将太、川上未映子、仲里依紗、窪塚洋介主演 冨永昌敬監督、94分 、公開日:2009-11-28(名古屋公開)、2009年 ...続きを見る
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2011/06/12 09:11

コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは♪
たしかに、私は仲里依紗のファンでしたから、なんとか観られましたが、それ以外何もなかったですね・・。

川上未映子の起用は話題性を呼ぶ以外の何物でもありません。プロの女優さんを使うべきだと思いました。
ひきばっち
2009/10/31 14:08
 ひきばっちさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
 この映画、サブカル畑の監督が自分のサブカル趣味に走って結局原作を台無しにしてしまったと言えるでしょうね。
 仲里依紗はアフレコもすごく上手でしたね。さすが「時かけ」等で経験豊富なだけありました。
 川上未映子については同感で、単に話題づくりのためなんでしょうねえ。劇中の彼女のヅラも謎でしたし、中途半端な起用の仕方だったと思います。
 
管理人
2009/10/31 19:10
映画のパンドラのラストの不自然さに疑問を持ち、原作を読みました。なぜ原作と同じにしなかったのか私も監督に詰め寄りたいです。つくしが竹さんの結婚相手では、あまりにつまらなくて唖然としてしまいました。
じゅんこ
2009/11/24 22:01
 じゅんこさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
 ラストの改変、うがった見方をすれば「窪塚洋介に見せ場を与えるため」でしょうかねえ。いわゆる大人の事情ってやつで。大体つくしのキャラ自体原作から名前だけ借りたほぼオリキャラですし。こういう作品の質を上げないような改変はやめてほしいですね。
管理人
2009/11/24 23:08
映画は、何が言いたいのか微妙に伝わって来なかったですね。
でも川上さんの芝居はナカナカ良かったですよ。
僕は仲さんも良かったけど川上さんの芝居が印象に残りました。この映画、予告編は良い感じだったんですけどね。
確かに暗く感じました。
暗さを越えた乾いた明るさみたいのが欲しかったです。
小ネタの笑いじゃなく。
原作読んでみます!
鮫肌
2009/11/28 00:59
 鮫肌さん、コメントありがとうございます。
 川上未映子、自身のキャラの持ち味は良かったんですけど、竹さん役には全然合ってないのが残念でした。原作での竹さんは明るい健康美人だったのに、なぜか退廃的なエロスを感じさせるようになっているし。そういう意味でこの映画、原作を読まずに観た方がずっと幸せだったのかも知れません。
 私もポップで明るい青春劇を期待していたんですが、暗かったですね。やはり太宰というと暗くしないとダメなんでしょうか。
 ちなみに原作は「青空文庫」ってサイトで読むことができますよ!検索してみてください。
 
管理人
2009/11/28 08:59
こんにちわ!>この映画、原作を読まずに観た方がずっと幸せだったのかも知れません。とおっしゃるとおりで、私は映画を観てから原作を読んだので、結構たのしんだクチです。今や原作と映画がごっちゃになって、どちらがどうだったか分からなくなりました。確かに竹さんと窪塚の成り行きは全然良くないですね。
Bianca
2010/11/13 09:54
 Biancaさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
 私はこの小説好きだったので、映画化が決まって大いに喜び、観てひどくガッカリしました。まあ、こういう邦画ってよくあるんですけどね……。
 窪塚洋介演じたつくしは原作にもいますが、ほぼオリキャラと言っていいですね。ラストの結婚話は物語的に何の必然性もなく、本当にいらないネタだったと思います。
管理人
2010/11/13 11:21
初めまして。今日TSUTAYAで借りて観ました。ぼくは映画が趣味で邦画洋画問わず大好きなんですが、久しぶりに目の覚めるような駄作に出会えました。憤りすら感じる映画は久しぶりで、ある意味天才的な監督だと思いました。最後までダークで、オチとかもどーでも良かったです。
管理人様の感想に大変共感でしましたので、コメントさせていただきました。
POT
2010/12/05 01:49
 POTさん初めまして。コメントありがとうございます。
 この映画、映画館の中で終盤あたりになると、右隣りのおばさんはぐうぐう寝ているし、左隣りのおっさんはため息ばかりついているしで、非常に観ているのが辛かったです。(^^;
 わざわざ他県のミニシアターまで行って正規料金払って観ただけに脱力感はひとしおでした。もう「金返せ!」って言う気力もなかった。TSUTAYAの100円レンタルでももったいない映画だったと思います。

 ちなみにここ数年での駄作ワースト3は、

  「笑う大天使」
  「遠くの空に消えた」
  「パンドラの匣」

でしょうか。いずれも見ているのが苦痛な作品でした。
管理人
2010/12/05 09:45
私は面白かったな。小説もキャストも何も先入観がなかったので、それぞれの織りなす人間模様に違和感は覚えませんでした。

パンドラの匣と希望を結びつけるにはやや弱い気はしますが、端から小説とは違うし限られた尺を思えばね。青春映画ですし。

2014/05/20 12:20
 蔵さん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
 小説未読でこの映画を観られたとのこと、うらやましい限りです。確かに先入観なければ竹さんやつくしのキャラ変更も気になりませんよね。
 原作を無視すれば楽しめる作品にとって原作とは何かという疑問は残りますが、監督の表現したい世界があって視聴者がそれを許容できれば、それでその作品の存在価値はあったということなんでしょう。
管理人
2014/05/20 20:28
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